もてはやされるリンパマッサージ(トレナージュ)
むくみの解消方法として、以前からリンパマッサージ(リンパトレナージュ)がさまざまなメディアで取り上げられ注目されています。そもそも、むくみは静脈のうっ滞が主な原因なわけですから、むくみ解消には静脈の流れを良くしたほうが効率的なはずです。血管外の水分を排出させるリンパマッサージがなぜ有効なのでしょう?
リンパのしくみ
人間の体の中には、血管が全身に張りめぐらされているのと同じように、リンパ管が全身に張りめぐらされていています。全身の組織中の細胞と細胞との間の組織液は、毛細血管を経て血液中に戻りますが、一部は毛細リンパ管に入り、静脈に送られます。この循環をリンパ系といい、その中を通る液をリンパ液といいます。
毛細リンパ管は集合して、より太いリンパ管になって組織から出てきます。そしてさらにリンパ管は合流して最後は1本の太い管になって、首の下にある鎖骨下静脈(さこつかじょうみゃく)につながっています。リンパ液は、ここから静脈に流れこみます。リンパ管は多くの弁を持ち、特に太いものでは弁のところがふくらみ、数珠状につながって見えます。
リンパ節(せつ)(リンパ腺(せん))といわれるところは、リンパ管が合流して太くなる部分が節のようになっているためです。リンパ節は新しいリンパ球や免疫抗体を産生し、細菌や異物を処理しています。リンパ管は、リンパ節を経由しながら、最後はリンパ本幹となって静脈に注ぎます。
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むくみとリンパ系の関係
リンパには 「余分な液体の回収」 「排泄機能」 「免疫機能」 の3つの大きな役割があります。血液の成分の一部は、毛細血管から組織液の中にしみ出し、組織液の中にしみ出した余分な液体は、リンパ管を通して集められ、最後は鎖骨下静脈に流れ込みます。
この時に静脈に還流されるのは90%で、リンパ系へは10%しか還流されません。むくみは、いったん血管外へ出た間質液が血管外の組織間隙に過剰に溜まったものなので、その大部分を静脈が排除して、リンパ系は残りのわずかしか排除していないということになります。
このようにリンパ系の一つ目の役割である「余分な液体の回収」については、意外と仕事量が少ないのです。ということは、むくみをとるには静脈の流れを良くするほうが効率的であるといえますが、それをなぜ、むくみとりには「リンパマッサージ」なのでしょう?
リンパ系の役割の本質
実はリンパ系の働きの本質は「体液循環の環境を常に一定の良い状態に保つこと」にあります。リンパ系の働きのひとつである「排泄機能」については、皮脂に溜まった余分な脂肪の排除など、いわゆる老廃物の排除という大切な役割があります。
老廃物は、通常は静脈に取り込まれて心臓まで戻ってきます。静脈に入りきらない溢れた分の老廃物はリンパ管に流れ込みますので、リンパ系は静脈の働きを補佐するという大切な役割があるといえます。
このようなことから、リンパマッサージ(トレサージュ)をすることによって、リンパの流れを活性化し、むくみの原因の水分の排出とともに老廃物を排出するという効果が期待できるのです。
実は普段の生活の中でリンパマッサージは行われている!?
足のリンパの流れは、足の付け根から腹部に入り込み、背骨にそって首の付近で静脈に合流して心臓に戻ります。もしも静脈への合流部が詰まっていたら、もうその方向へは流れないことになりますので、マッサージはここから始めます。
まずは、首の付け根をマッサージして、次に背骨にそって流れる深部のリンパ管を深呼吸で刺激することで流れを改善します。次は足の付け根を刺激してから足の皮膚上を撫でるようにしてリンパ液を動かすようにします。
というように、リンパマッサージ(トレナージュ)の具体的方法はさまざまなメディア、ホームページで説明されています。では、このようにマッサージしないと、足のリンパは流れて行かないのか?といえば、実はそのようなことはありません。
運動不足の現代人だからこそのリンパマッサージ(トレナージュ)?
リンパマッサージ(トレナージュ)の手法で行なっていることは、すべて日常生活の中で自然に行われていることなのです。深呼吸して、首を動かし、足を動かす。このように日常生活で適当に身体を動かしていれば、十分にリンパ系は刺激され流れることになります。
現代人が身体を動かす機会が少なくなっていることが、このようなリンパマッサージ(トレナージュ)がもてはやされる背景になっているともいえるでしょう。
笑顔のある人は若々しい
ブスっとしたしかめっ面では、リンパ系は働きませんので、良い意味で笑顔でよく喋り明るくいきいき過ごすことが大切です。すると顔のリンパの流れが良くなり、きれいな肌で若々しい表情になるともいえます。