人は、なぜむくむのか?
むくみ自体は、必ずしも病気ではありませんが、自覚がないことも多く、軽視されがちです。むくみによる身体の不快な症状を自覚できない場合、イライラする、やる気が出ないなど、精神面にも影響を及ぼします。
では・・・人間はなぜ、むくむのか?こんなことを考えたことはありませんか?実は「女性はむくみやすい」と言われるように、むくみやすい「体質」のようなものがあります。むくみを知って解消につなげるには、まずはむくみの仕組みを理解することが大切です。
むくみの正体は?
わかりやすくいえば、皮下の過剰な水分が、むくみの正体です。多くの方が経験する足のむくみの場合を例に取れば、本来は血液は心臓から動脈を通って足まで運ばれ、静脈を通って心臓に戻されます。
しかし、足に溜まった血液を重力に逆らって心臓に戻すには、心臓自体の静脈血を引き戻す力と、足の筋肉による静脈血を上へ押し上げる力が必要となります。このどちらかが弱っても、むくみが起きてしまいます。病気の場合を除き、特にむくみに影響するのは、足の筋肉の「筋ポンプ作用」が働いていない場合です。
動き回っている人は、静脈のうっ血は起こりません。しかし動かないでいるとうっ血がおこりむくみやすくなります。長時間立ちっぱなしや、ディスクワークの場合に足がむくむのはこのためです。
次から、むくみのメカニズムに関して更に詳しく解説します。
重力のない宇宙ではむくんでしまう?
人間の身体は重力の影響を受けていますので、宇宙飛行士が宇宙へ行って重力のない環境下ではさまざまな症状が出ます。地球上では、重力の影響で血液や体液は足の方に集まっています。
宇宙に到達して無重力の状態になると血液は下半身よりも上半身、頭部に多く流れるようになります。このために目の周りを中心に顔のむくみが現れるようになったり、血圧の低下につながります。
その後、人間の身体は体液の分布の異常を改善するような反応が起き、地球へ帰還したとき再度重力の影響を受けます。すると多くの水分が急に下半身へ移動するようになります。
これが原因で立ち上がった時に急に血圧の低下が起き失神することもありますが、これを「起立耐性の低下」と言います。
同じようなメカニズムで戦闘機のパイロットも激しい空中移動により強烈な遠心力で体液が移動します。特に心臓、頭部の血液が下半身へ集中して失神してしまわないように下半身に陰圧負荷をかける装置がついています。